2006.10.13〜15                        K2Couple No.0160 

奥穂高岳
おくほたかだけ (長野県)
3,190m クリックで拡大
三段紅葉に染まる涸沢と新雪の奥穂

コース最大標高差 : 1,688
コース累積標高差(+) : 1,810
コース累積標高差(−) : 1,810
コース距離 : 36.0 km
行動時間 : 21'05"

               * 距離と累積標高差はKASHMIR 3Dによる概算値です
               * 距離は地図上のもので、実際の登山道の長さではありません

 ジャンダルムをbackに奥穂山頂で
  3:20 = 藤岡IC =更埴JCT = 5:30松本IC = 6:10沢渡大橋p6:35 =taxi= 7:00
  上高地BT7:10 -7:50明神8:00 - 8:50徳沢9:00 - 10:00横尾(L1)10:20 - 11:35本谷橋(L2)12:00 - 12:50Sガレ - (L3) - 14:50涸沢小屋
  涸沢小屋6:10 - 7:20ザイテン取付 - 8:55白出のコル9:15 - 10:00奥穂高岳10:25 - 11:20白出のコル(L)12:15 - 12:50ザイテン下部 - 13:35涸沢小屋
  涸沢小屋5:25 - 5:40涸沢カール末端6:15 - 7:15本谷橋 - 8:05横尾(BF)8:35 - 9:25徳沢9:35 - 10:20明神10:30 - 11:25上高地BT
  上高地BT11:40 =bus= 12:15沢渡p梓湖畔の湯13:00 = 松本 = 三才山トンネル = 佐久IC = 藤岡IC = 17:10■

  涸沢小屋 (¥8,500 ・・・ 1日目 ¥7,100 ・・・ 2日目 )   梓湖畔の湯 (¥700)

  穂高は昔御幣岳ともいった。空高くそびえる岩峰が御幣の形に似ていたからである。また奥岳とも呼ばれた。人里から遠く離れた奥にあったからだろう。梓
  川沿いにバスが通じて以来、人々はたやすく神河内(上高地)に入り、そこから穂高を仰ぐことができるようになったが、それ以前は徳本峠を越えねばならな
  かった。峠に立ったとき、不意にまなかいに現れる穂高の気高い岩峰群は、日本の山岳景観の最高のものとされていた。その不意打ちにおどろかない人は
  なかった。(中略)大正時代に入ると、穂高は岩登りと積雪期登山の道場になった。三千米のピークが四つもある岩の大伽藍である。当時の前衛的な大学
  山岳部の若者達は競ってこの山を目ざした。(中略)おそらく山岳団体に属する人で、涸沢生活の経験を持たない人はないだろう。夏には幾十というテントが
  そこに並び、グリセードや岩登りの訓練に出かけて行く。穂高はアルピニストのメッカになった。しかし、そこで永遠に眠った人も多かった。大島亮吉も、茨木
  猪之吉も、穂高を墓にした。近年は冬期登山に毎年のように犠牲者を出している。小坂乙彦も死んだ。魚津恭太も死んだ。死ぬ者は今後も絶えないだろう。
  それでもなお穂高はそのきびしい美しさで誘惑しつづけるだろう。


                                                                                               深田久弥 『日本百名山』 より抜粋



アイゼンを効かせて、一歩一歩山頂をめざします。
先週降った雪が凍りつき、ガスの絡む山の姿はなお更に神秘的だ。
岩と雪のミックスルートを慎重に登る。

上高地側から湧き上がったガスが、稜線をくっきりと分けてゆく。
私達の他には誰もいない、夢のような奥穂高岳山頂は目の前です。

 奥穂途中より前穂北尾根

ジャンダルムが眼前に聳え、はるかに槍の穂先が屹立する。
岩と雪の殿堂、北アルプスの最高峰に立った幸せをかみしめるひととき。

天候に恵まれ、ラッキーな登頂だった。

 ジャンダルム

沢渡の駐車場に着くと、昨夜からの車のフロントガラスが凍っていた。
バスに乗るつもりだったのに、タクシーの相乗りを頼まれ速攻上高地へ。

平日で早朝のせいか、上高地にはまだ人が少ない。
岳沢からせり上がる三千米峰は、うっすらと雪化粧していた。
河童橋で記念撮影。

木梨平を過ぎると、たくさんの猿が日向ぼっこや毛繕いの最中です。

 河童橋から
 明神                ▲ 徳沢

明神、徳沢でお決まりの休憩をし、新村橋で遊んで順調に横尾着。
涸沢まで約700mの登りを控えて腹ごしらえする。

槍ヶ岳への道を見送り、横尾大橋を渡って横尾本谷へ入ります。

 横尾大橋 

針葉樹林から河原に出ると、屏風岩の大岩壁が迫ってきます。
タック&おぎゃは、もう登ったのかな。

正面に北穂高岳を眺めながら、本谷の流れと紅葉に癒されてゆく。
紅葉シーズンには遅かったのか、心なしか鮮やかさが欠けていた。

 北穂が見えました
本谷橋には、ハイシーズン用の仮設橋も架かっている。
登る人と下りる人が入り乱れて休憩している。
私達も休んで、行動食をとった。
 本谷橋を渡る 

  しばらくの急登を頑張れば、本谷と別れて
  涸沢右岸の緩やかな道だ。
  ダケカンバの黄葉がうつくしい。

  そして展望の開けたSガレ付近まで登ると
  紅葉も綺麗だし前穂北尾根の右に涸沢カ
  ールがお目見えです。
  ナナカマドの紅葉も増えてくる。

  ここから、急ではないがそこそこの登り
  が延々と続くのだった。
  心は涸沢に、足はだるくなる。

     Sガレ上部を登るおいちゃん             紅黄のトンネル 


 涸沢槍も見える               ▲ 北穂南稜

雲ひとつないピーカン。

今日は涸沢小屋泊りじゃんよ〜。
景色を楽しみながら、だらだら登ってゆくうちに休み癖がついてしまった。

 前穂北尾根屏風ノ頭をbackに 

ついにはザックを広げて、又してもランチ休憩に突入してしまう。
大自然の中で食を楽しむ優雅な時間は、30分もの長きに及ぶのだった。
登る気あるんかい?

だらけている私達を見て、休む人多し ・・・ 人間は誘惑に弱い。

 まったり休憩

涸沢ヒュッテと涸沢小屋の分岐、涸沢ヒュッテに向かう人が多い。
我が隊は涸沢小屋へ。

テン場の石畳を、つまづきながら登って行きます。
山に気をとられて足元を見ないからさ。

 涸沢カール下から北穂高岳 


ナナカマドは鮮やかさを増し、穂高を飾る新雪と相まって何年か振りという見事な三段紅葉の出現となったわけでございます。

どこを切り取っても、絵になる風景。

 やれやれ、涸沢に到着 

瀟洒な涸沢小屋に到着。

予約割引¥100、山岳保険加入割引¥400で、6畳間に4人という贅沢。
相部屋の千葉のカメラマン夫婦は、既に部屋で休んでいた。
山の写真の話で盛り上がったところで、奥さんが高山病を発症し特別室に移動してしまったので、何と二人で貸切になってしまった。

混雑を覚悟していたので、まさかのVIP待遇が信じられなかった。
嘘のようなホントの話。

 涸沢小屋

 涸沢のテン場には神々の岩壁が迫っている 

 涸沢ヒュッテに遊びに行って、逆光の大岩壁をしつこく眺める 


再び涸沢カールを散策してから、涸沢ヒュッテの偵察。
こっちの方が人が多いような気がする。

小屋に戻ってテラスで過ごします。

 涸沢ヒュッテ

大展望テラスから見上げる前穂、奥穂の岩壁は先週の雪が寒々と模様をなし、異様な霊気を漂わせています。
先週は発達した低気圧の影響で、吹雪の前穂とジャンで二人凍死、北穂で一人行方不明という犠牲を出していた。

「奥穂ルートは冬山装備の上、熟練者に限る」という張り紙があった。
ザイテンも日陰は凍っているし、白出のコル上部はもっと危険とのこと。
北穂南稜は日当たりが良いので、殆んど雪は解けているらしい。
松涛岩周辺、北穂沢源頭のトラバースは危険とのこと。

明日は 「北穂南稜を辿り、行けるところまで」 と申告して寝る。

 テラスからの眺め 
                            ▲ 涸沢小屋付近から前穂高岳


                        奥穂高岳モルゲンロート

5時50分、奥穂のモルゲンロート。

テラスに出てモルゲンロートを仰ぎ、再び二人で作戦会議です。
見た感じではザイテンは問題なさそうだし、ここまで来たら北アの最高峰奥穂の山頂に立ちたい。
そのためにアイゼンを装備してきているのだった。
迷っている人達を尻目に、トップの出発となった。

 紅葉の北穂南稜 

仕事で痛めた腰痛対策に、痛み止めを飲む。
接骨医で腰にテーピングしてもらって来たが、効果は不明。

最盛期を迎えたナナカマドの赤、ダケカンバの黄色を掻き分けて意気揚々と、しかし一抹の不安も抱きながら登ります。

絶好のコンディション
 北穂南稜を右に見て            チングルマの穂

奥穂や涸沢岳がグングン近づく気持ち良さ。
空には鱗雲というのか、秋特有のちぎれ雲が次から次へと飛騨側から流れてくるので、山全体が動いているような錯覚。
穂高丸に乗って大海原に漕ぎ出す気分だった。

昼寝岩で奥穂に対峙する。
最低気温は零度だったが、暖かい日差しはありがたい。

 昼寝岩で感傷に耽るおいちゃん 
 秋雲がワイワイ押し寄せる奥穂と前穂の吊尾根、そしてザイテングラード 

ザイテンに取り付くまでのトラバースは、最後に雪があるだけ。
雪とは言え、ガシガシの氷である。

ザイテンに取り付いて小広いところで休憩していると、若者が追いつく。
驚異的な足取りで、あっという間に追い越された。
崩落石の乾いた音が、カラカラと絶え間なく谷にこだましています。

あずき沢に面したルートは日当たりが良いため雪は解けているが、反対側は凍っている。
岩角を掴んで、足を滑らせながら登っていきます。
アイゼン装着のおっさんが下りてきた。
昨夜の穂高岳山荘宿泊者は、たったの15人だって。

最後のトラバースはしっかりステップが切ってあり、何となく安全に通過して白出のコルに建つ穂高岳山荘に着いた。

 はるかに常念岳 
                   ▲ 涸沢の紅葉                                  ザイテングラード取付点
             ▲ ザイテンから常念岳と屏風ノ頭                                  ▲ 登る
                  ▲ どんどん登る                                  ▲ はるか下に涸沢ヒュッテ

山荘前には二人いた。
そのうちの一人にシャッターを押してもらい、お返しに押してあげる。
消防隊員の彼は、いかにも精悍な感じです。

彼の激励を受けて、奥穂高にアタックすることになった。
ザックを小屋前にデポする。
アイゼンを装着して、山荘前の雪に覆われた石畳を歩いていきます。

涸沢岳には何人か登っているようだった。

 閑散とした穂高岳山荘で 

奥穂の取り付きは、急な壁だった。
吹き溜まりの雪上を登って、アイゼンの効き具合を確かめる。
アイゼンの爪が根元まで刺さらないほどの固い雪だ。


梯子を二つ登り、クサリの斜上は問題なく通過。
雪の付いた急な登りが二ヶ所あり、下る時のことを考えると少し憂鬱です。
下はどこまでも切れ落ちている。

ザイテンで追越していったお兄さんが早くも下って来た。

 山荘から見上げる奥穂の壁 

 初めは二連の梯子、そしてクサリ場へ          真下に穂高岳山荘を見下ろす 

見下ろせば、山荘がグングン小さくなってゆく小気味良い登り。

マミさん必死に高度を稼ぎながら振り返ると、涸沢岳と北穂高の間に槍ヶ岳が徐々に姿を現し、感動の波が押し寄せます。

わ〜槍だ きれ〜 すご〜い

 槍ヶ岳遠望

 高度を上げると槍ヶ岳方面の展望がすばらしい 

                               ▲ カッコいいジャン
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 新雪の彼方に北穂と槍と            もうすぐ山頂ですよ

岩と雪の緩斜面を少しずつ登る。

山頂に立って最高のご褒美を味わいます。
おいちゃんは祠のある山頂で、私は方位盤のある山頂でお見合い。

北アの最高峰に立った瞬間、感動を超えた戸惑いさえ覚える。
何も考えずに展望に酔って30分近く過ごす間、誰も来なかった。
こんな事ってあるんだね。

 雪を避けて岩をへつるマミさん
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上高地から急速にガスが湧き上がって、ジャンダルムは見えるが西穂は見えなかった。
威圧的なジャンの姿に見入ってしまいます。

 奥穂山頂から立山、剱と槍ヶ岳遠望
 満面の笑顔            奥穂高岳頂上です

                         槍ヶ岳に続く稜線を見ながら下りにかかります 

さあ下るよ。
ゆっくり慎重にね、アイゼン引っ掛けるなよ。

おいちゃんは1ピッチ毎に先に下って、私を待っている。
滑落したら終わっちゃうと思えば思うほど、緊張が高まる。

 ジャンダルム見納め

そして、二本足だけでバランスをとって雪の壁を下るのが最後の難関。
ほんの少しの気の緩みが、命にかかわる本日一番の緊張の場面です。
ピッケルかせめてストックを持って来るべきだった。

ときどき滑落事故のある嫌な場所だ。
切れ落ちた谷に向かって下降が続く。

 祠に安全祈願したけど下山は慎重に 

長野県警の偵察が急接近してきます。
至近距離で、私たちを確認するかのようにして飛んでいきました。
無茶な奴らだと思ったかな(^^;

こんな緊張の場面で気が散るし、やめてよ〜。

 ヘリ急接近

クサリ場まで下りて、やっと人心地がつく。
クサリや梯子はどんなに急でも、掴む所があるので心強かった。
ただ、岩場のアイゼンはうっとうしい。

コルに降り立ち、無事登頂を振り返って固い握手を交わす二人だった。

 奥穂最後の岩場を下る 

穂高岳山荘前には、やっぱり五人位しか人がいないので、超のんびり超満足のランチタイムです。
下る時に若いカップルとすれ違うまで、完全に独占状態の奥穂高岳山頂の感動は、忘れがたい記憶として残るだろう。

コルからの下りトラバースが終わったところで、アイゼンをはずす。
ザイテングラードの下りは雪も少し緩んで、怖いと思うところはなかった。
が、怖くないところで事故は起こる。

 奥穂を振り返りながら

涸沢岳も登るつもりでいたのに、横尾まで下ることを考えてカットしてしまった。
今思えば、勿体ないことをしちゃったな〜。

そもそも上高地-涸沢-北穂-奥穂-前穂-岳沢-上高地が最初の計画だった。

 ザイテンの末端で休憩

カールに下り立つと、ナナカマドの紅葉が素晴らしく、まさに夢に見た涸沢がここにある。
登頂を終えて、気分はマッタリしていた。

何度も振り返りながら、チンタラ下る。

 北穂南稜とナナカマドとおいちゃんと
 奥穂山頂に心を残して          ▲ ナナカマドの紅葉全開

 涸沢カールから涸沢岳と北穂高岳(涸沢槍がカッコいい) 

涸沢小屋に戻ったところ、混雑のため横尾に泊まれるかどうか分からないと言われ連泊決定。
こんなことなら涸沢岳にも登れば良かった。
テラスで生ビールを片手にボケ〜と山を眺める。
今日は土曜日なので、小屋のテラスも賑やかです。

連泊に付き更に¥500引き、残りの食料があったので朝食は自前ですることに決める。
飛込み宿泊者は混んでボヤいていたが、予約宿泊者は6畳に6人、今晩もゆっくり眠って良い夢が約束されている。

 涸沢はゆっくり暮れていきました


眼を覚ますと星が瞬き、大きな北斗七星が北から出てきた。

涸沢末端でモルゲンロートを見ようと、朝食を済ませて5時半に小屋を出る。
しかし寒さを堪えて40分も待ったのに、残念ながらモルゲンロートは見られなかった。

 未明の涸沢カールを下る

昨日の朝は鱗雲があって秋らしかったが、今日は完璧ピーカン。

 涸沢の下り、屏風と常念と

本谷橋から横尾まで超特急で下ります。
登ってくる人が多く、すれ違いに待たされる。

屏風岩が朝日を受けて大きかった。

 屏風岩 

横尾に着いたところで残った食料の整理です。
ミニラーメンにお汁粉とみかん休憩。

明神からは観光客の波に埋没、忙しく上高地のシャトルバスに乗り込みます。
K2Couple史上初の二泊三日のお遊びが終ろうとしている。

 横尾に戻ってきました

  そうそう上高地では、観光係のおじさんが望遠鏡を2台セットして観光客に覗かせサービスをしていた。
  覗いてみると、1台は奥穂山頂の登山者、もう1台は西穂山頂の登山者がはっきりと見えるではありませんか。
  すっげ〜。


    奥穂高岳の場所
  この地図は、MAPPLE山と高原地図WEBから引用したものである

                             

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